小説

『時皿』にぽっくめいきんぐ(古典落語『時そば』『猫の皿』)

「だろう?…………お、おう……」
「お客様、あと一円必要ですね」
「そうだな……」
 男は残念そうな表情で、残りの一円を渡しました。
「ありがとうございます。数え直しますので少々お待ち下さい」
「え?今ちゃんと数えたじゃないか」
「はい。ですが計算違いは世の常ですし」
「ったく、なんでそんなにしっかりしてやがんだい!」
「ええ、近くに寄席がございまして」

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