小説

『そうよ相応』番匠美玖(『人魚姫』)

 波打ち際まで歩いてみると、砂の上に何かが書いてあった。ドキドキしながらそれを読むと、体がすぅっと冷えていった。
水の跳ねる音に顔を上げると、月明かりの中で空想の生きものが跳ねているのが見えた。海面から綺麗な弧を描いてジャンプしている。
それを何度か繰り返すと、やがて海は静かになった。

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