小説

『ウェンディとネバーランド』あやもとなつか(『ハメルーンの笛吹き』『ピーターパン』)

「やぁ、僕はピーターパン。気軽にピーターって呼んでくれていいからね。」
「ピーターパン…?ねぇ、ここはどこなの?私達はどうしてこんな所にいるの?」
私が質問すると、ピーターは回りながら言う。
「ここはネバーランドさ!子どもの為だけの国だよ。君たちは…まぁ、色々な理由があってここにいるわけだけどさ。折角だし、楽しもうよ!ねぇ、君、名前は?」
「ウェンディよ。」
「僕はジョン!」
「俺はマイケル!」
子ども達は口々に自分の名前を言った。
ピーターは嬉しそうに頷いている。一段落して落ち着くと、ピーターは言った。
「ここは子ども達の国。だから、ここではみんなの欲しいものがすぐ出てくるんだよ。こんな風に。」
パチン。
ピーターが手を指を鳴らすと沢山のお菓子が落ちてきた。
「わぁ!すごい、すごい!どうやったの?」
ジョンとマイケルはお菓子を拾い集めながら興奮したように言う。
「簡単なことだよ。僕がお菓子が食べたいなぁって思って好きなお菓子を思い浮かべただけ。みんなも出来るよ。欲しいものを思い浮かべてごらんよ。」
そう言ってピーターはまた指を鳴らす。
パチン。
すると私達の浮いているところにお花畑ができた。
「わぁぁ!綺麗。」
お花畑の花は私が今まで見たことのない水色の花びらで、面白い形で、甘い匂いがした。
「ほらほら、みんなもやってごらんよ。」

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