小説

『ぼくと、4つのせかい』田中和次朗(ネイティブアメリカン民話『ホピ族の予言』)

ぼくは、そうすけ。草を助けると書いて、そうすけっていうんだ。
おばあちゃんから聞いた、とても大切な物語がある。たったひとつのその物語はすべて、ぼくの記憶に記録されている。
不思議で、可笑しい。でもほんとうだと思わせる、でもほんとうかもしれない物語。
この真実を知れば、これから、なにをすべきかがわかるはず。
よし。よーく思い出してみよう。

すべてはこの広い牧場からはじまった。
茶色く肥えた土、白い雲、青い空。
緑色をしたぼくのとなりには、いつも変わらずクローバーたちがいた。なぜならぼく、草だったから。
この美しく、素敵なせかいがとても好きだった。ケラケラ笑うクローバーたちと風に揺られて、生きられるのだ。
のんびりとした時が流れていくこのせかいを、ずっと永遠にくらすことのできるせかいだと確信していた。

草助。あたし、幸せよ。ケラケラ。
牛に食べられてしまうのがもったいないほどね。ケラケラ。
ずっとこのまま続いていけばいいのに。
ぼくの頬を、その花の頬で撫でながら、そう言った。

モー。牛が鳴いたある日の夕暮れ時。

今日もクローバーたちが優しい笑顔で体を揺らしている。
草助。あたし、幸せよ。ケラケラ。
牛に食べられてしまうのがもったいないほどね。ケラケラ。
ずっとこのまま続いていけばいいのに、ケラケラ。

ずっと永遠にくらすことのできるせかいだと思っていた。

草助。あたし、幸せよ。ケラケラ。
牛に食べられてしまうのがもったいないほどね。ケラケラ。
ずっとこのまま続いていけばいいのに。ケラケラ。
 

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