小説

『死んだレイラと魔法使い』本間久慧(『シンデレラ』)

 あの日と同じように、とても良く晴れていました。空はどこまでも青く、雲ひとつありませんでした。

 ぼくはその景色を見ながら、ふと、彼女のことを考えました。妄想です。

 朝、起きると、彼女が笑っています。どうしたの、と聞くと、ぼくが、眠りながら笑っていた、と言うのです。

 幸せなのね、と、彼女が言います。ぼくは、幸せだよ、と答えます。ぼくは、どうか、彼女も幸せでありますように、と思います。祈るような気持ちで、強く、強く。

 何か特別な力でこの夢が終わらないことを願いながら、ぼくは一口、砂糖とミルクでジャリジャリのコーヒーを飲みました。

 あのとき、ぼくが深夜の屋上で見たものは、一つ一つの優しい光が無数に散りばめられた、満天の星空のような、美しい地上の光景でした。

 

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