小説

『狸寝入りのいばら姫』星見柳太(『眠れる森の美女』)

「……責任、取ってね?」
 そう言って彼女は小首を傾げ、淡い微笑みを浮かべていた。
 その表情は大人びていて、寝顔の時とも、普段の顔とも、全く違うものだった。妖艶、という言葉がしっくりくる。同じ高校生なのに、そんな顔ができるのか。もしかして、全て仕組まれていたのだろうか。僕がキスをしてくるよう、計算されていたのだろうか。そんなわけはないのだろうけど、そう思わせる何かがあった。
 今まで僕が知らなかった、見られなかった彼女の顔。ただ静かに見つめているだけじゃ、見られることはなかった表情。僕は今もしかして、とんでもないものを起こしてしまったのではなかろうか。

 

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