小説

『凸凹仲間の新たな挑戦』春日あかね(『ブレーメンの町楽隊』)

 それから半年・・・。

 七人の男たちは、繁座のあるライブハウスの舞台裏にいた。呂端(ろばた)は蝶ネクタイをはめ、緊張した面持ちでいた。恰幅のいい男は、自慢のボンレスハム腕を見せつけるかのように黒い半袖のTシャツを着て腕を組んで立っていた。犬川、猫柳(ねこやなぎ)、鳥山、二人の子分が楽譜を囲み、自分のパートを確認し合っていた。

 舞台の向こうでは、これから始まるステージに胸を膨らませて待っている観客のざわざわという声が渦巻いていた。そして、開演ギリギリで飛び込んで来た客が着席すると、すべてのテーブルが観客で埋め尽くされた。

「レイディーズ・アンド・ジェントルメン、お待たせしました!これから繁座が誇る凸凹(でこぼこ)バンド、「ザ・オヤジーズ」の演奏をお聴きくださ〜い!」

 キャ〜ッと言う、黄色い歓声にまみれて、幕が開き、スポットライトがポッと舞台を照らした。七人の中年男たちの新たな挑戦が本格的に始まった瞬間だった。

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