小説

『ご家老の気苦労』菊地フビオ(『目黒のさんま』)

そして月日は流れて・・・

 
チャンチャカチャカチャカ♪ポンポン♪
楽しげな笛太鼓と観客の拍手と共に舞台に落語家が現れる。
時は平成、今日は目黒のさんま祭りの日である。来場者には焼きたてさんまが無料で振舞われ、大道芸や寄席も無料で観ることができる。
『弁当を忘れましたがなんせ今と違って近くにマクドナルドなんかありません』
 ドッカーンと笑い声で会場が揺れる。

 
「そうじゃ。ワシの取り越し苦労かもしれんの。江戸の民は飽きやすいからの。すぐに忘れるて・・・」と空を見上げる江戸の三太夫。
そしてまた舞台は平成、寄席の会場に移り・・・

 
『そりゃいかん。さんまは目黒に限るっ!』
 ドッカーン!

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