小説

『蟻と蟻』行李陽(『鶴の恩返し』)

……ある所に、一人の狩人が居た。
「とうちゃん、ご飯要らないの?」
「ああ。とうちゃんはお腹いっぱいなんだ」
 狩人は自分の息子に、ご飯を分け与えた。
 それから食卓を離れて、外に出た。
 狩人は首を傾げた。
 なんだってこんな、今年は獲物が捕れなかったのだろう。おかげで、冬の収入が激減だ。一生懸命働いたが、まあ、獲物の数が運に左右されるのは仕方ない。しかし、まるっきりゼロとは……。
「うーむ……」
狩人は腹を鳴らした。
銀世界を一望しつつ、狩人は延々と頭を悩ませ続けましたとさ。
めでたし、めでたし。

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